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2023.06.03桑沢学園・新教育施設の開設について

本校では、2023年4月12日に桑沢学園・新教育施設の運用が開始しました。
桑沢学園・新教育施設は、地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造りで、本校から徒歩1分に位置します。

在学生は、4月12日から利用を開始しています。

設計者は、昼間部スペースデザイン専攻卒業生のmoss. 志摩 健さん。

ー デザインを探求し、未来のデザインを育む研究所として。
デザインを学んだ学生たちがいつかまた訪れた時に初心に戻れるような場所になるように。

そんな願いを込めて設計されました。

桑沢学園・新教育施設には、授業教室をはじめ交流スペース、テラスなどを開設。
現在も改装をしている空間もありますので、詳細は決まり次第随時更新します。

設計者の志摩さんからのコンセプトを交えながらご紹介です。

現校舎からほど近い場所にある建物を全面的にリノベーションし、現校舎と併用して運用することで機能の充足を図ることから計画は始まりました。
1期工事では地上1階から4階までを改修範囲とし、建物の横に長くシンメトリーな形状を生かしたレイアウト計画とし、ユニバーサル化に伴う設備の一新や、効率的な動線計画による開放的な施設を目指しました。
1階から3階は、中央にパブリックなエリアを設け、その両側にイベントスペースや教室など機能を持ったスペースを配置するように計画しています。

教室

エレベーターホールとは照明の色温度を変え、躯体を白に塗装してエアコンの高さや配線などを見えないように処理することで、すっきりと開放性のある教室としています。エンツォマーリやアルネ・ヤコブセンのチェアが並び、日々の中で往年のデザインに触れる機会を持つことができます。

2,3F エレベーターホール

2、3階の教室間の中央に配したパブリックスペースにはベンチとハイテーブルを設け、学生同士の繋がりを生むスペースとして機能し、中央テーブルでの団欒や、ベンチでは各々の作業ができるなど授業間の隙間時間をより有意義なものにします。

元々の内装に使用されていた大理石をアップサイクルした研ぎ出しの天板。機構や機能が素の姿として空間を形成していく中で出てくる直線による強さを柔和し、人間の手仕事と自然素材による暖かみを空間に持たせています。

4F ラウンジ

外部空間との繋がりを意識したラウンジエリア。特徴的な建物の形状を生かしてベンチをリズムよく配置しています。段差に沿っているため、利用する学生が横に並んだ時にも視線も気にならず各々の作業にも集中できる配慮をしています。

壁面の仕上げ

4階の壁面の一部は解体したままの躯体表しとしています。リノベーションによって全てを綺麗にしてしまうのではなく、桑沢デザイン研究所の持つ歴史と合わせて新旧の対比を随所に見せるような空間にしたいと考えました。

4F テラス

4階は面積の半分以上が屋外となっており、代々木競技場と緑豊かな代々木公園を借景として望みながらそこをデッキ貼りのテラスとし造作のベンチや大きなテーブルやカウンターを設け、豊かな植栽を植えることで外との繋がりを意識した気持ちのいい場所として都会にいながらも自然を享受できる場所になればと考えました。

90年代に建てられたこの建物はポストモダンの空気を感じさせる特徴的なコンクリートの外観となっており内部は大理石が貼られた壁や板張りの床など古めかしい当時の内装が残っていました。
外観との対比を図るため、内装はあくまで数十年先を見据え恒久的なニュートラルさを意識し極力装飾は抑え、渋谷と原宿の中間地点ということもありどこか都会的なエッジを付加するようにデザインをしていきました。
桑沢がドイツの*バウハウスのデザイン理念を元に創設されたという経緯から、内装のマテリアルも、モダニズムの進歩を押し進めたスチール、ガラス、コンクリートをメインに使用し、手すりやサッシはデッサウで用いられたディティールを現代的にアップデートすることでリノベーションによる新旧と当時のバウハウスと現代のデザイン学校としての桑沢との新旧の対比を図っています。
要所に配したシンプルなアールの手すりや特注のカーテン、ファブリック、既存の大理石をアップサイクルした研ぎ出しの天板などによって、機構や機能が素の姿として空間を形成していく中で出てくる直線による強さを柔和し、人間的な暖かみを空間に持たせています。
スケルトンに塗装をした白い箱の中に多用したニュートラルなグレー(主張のない工業製品的なグレー)は、どこか都会的でありながらも中庸であり、デザインを探求する学生たちが持つそれぞれの’色’を引き立たせる意味も持っています。
上記の要素により、この先もその普遍的な印象は都会の中で学ぶ学生にとってあくまでも自身の学びにフォーカスできるバランスを担う役割を持ち、日本で最初のデザイン学校としての歴史を継承するおおらかな受け皿としてこの先も機能していくことを期待します。

*バウハウス
1919年に建築家グロピウスによってワイマールに建設された造形芸術の総合的な学校。 芸術と工業を統一する理念をたて、活発な造形教育を行い、その後の欧米の芸術、文化状況にも広く深い影響を残しました

Movie : Shotaro Niikura (S Wood Works)

Movie : Movie : Kosuke Ino

<建物概要>
名称:仮称)桑沢学園・新教育施設
所在地:東京都渋谷区神南1-4-22
用途:専門学校 
クライアント:学校法人桑沢学園
竣工:2023年 3月 (建築物竣工1999年 11月)
工事種別:リノベーション
構造:RC造
規模:地上4階 地下1階
敷地面積:243.44m²
建築面積:197.72m²
延床面積:881.60m² (地下を含む)
設計期間:2022.6-2022.12
施工期間:2022.12-2023.3

<CREDIT>
設計・デザイン:moss.
施工:Studio inc.
電気設備: KENT
空調換気・給排水:GM co.,ltd.
照明設計:Filaments inc.
研ぎ出し・左官:ADDICT
植栽:Tan(Timber Crew)
家具:
MARVELOUS
CUSTOM
照明器具:
BP.
L&L
DAIKO
DNライティング
カーテン:fabricscape®︎
サイン計画:BOOTLEG
内覧会ビジュアル:Yumi Matsushita
竣工写真撮影:Koji Fujii|TOREAL
竣工動画撮影:S.Wood.Work
施工動画撮影:Kosuke Ino