メニューボタン マップボタン

卒業生紹介

門倉さゆり

プロダクトデザインコース
2011年卒業

門倉 さゆり

プロダクトデザイナー
2012年、日都産業株式会社入社

 働きながら〈桑沢〉で学んでいたので、仕事と学校の両立が大変でした。デザインは、それまでの人生でずっとやりたかったこと。課題にしっかり取り組まないと意味がないと思い、徹夜してでも頑張りました。課題を終え、朝仕事に行き、夕方は〈桑沢〉へ。いま思えば楽しい日々でした。自由に使える工作室は、大好きな場所でした。
 先生は、ときに厳しく学生に接しますが、そのぶん最後まで見放さずに導いてくれます。印象深かったのは、入学して最初のオリエンテーションでの先生のこの一言。「みなさんがデザインの能力を培い、活躍してくれることが私の生きがいです」。実際に授業を受けて、改めてこの言葉の意味を実感しました。

 最終課題では、流れ星に連動して光るイルミネーションをつくりました。流星が出現した際に反射する電波をキャッチする「流星電波観測」のシステムを利用した作品です。流星電波観測の研究者で、本を出版されていた方に連絡をし、協力をお願いしました。「それは面白い、おそらく世界初の試みです」と興味をもってもらえ、嬉しかったことを覚えています。

 私は現在、公園遊具メーカーで低年齢児向けのぶらんこやすべり台、ベンチなどのデザインを担当しています。子どものことを知れば知るほど、子どもが何を喜ぶか、どんな危険があるか、感覚的にわかってきます。仕事をしているうちに、「デザインとは何か」という考え方が変化してきました。
以前は、デザインとはアーティスティックなもので、いかに奇抜なもの、世にないものをつくり出すかについて必死に考えていました。でも、実際のデザインの仕事は違う。正解はないけれど、限りなく正解に近い答えがあるものなのだと知りました。問題に対して自分はどういう答えを導き出せるのか。地道に人の話を聞いたり、観察したりしながら正解に近づく努力をします。そしてその答えの必然性を論理的に説明することがとても大切だと実感しています。

「世界を変えるデザイン」という言葉があるように、デザインには、美しい形、新しい価値を生み出し、環境を変える力があります。そして対象によって、アプローチを無限に組み立てられることが興味深いと感じます。それにいまの仕事を進めるうちに、自分自身への理解も深まりました。「遊ぶ」=「育つ」。人のアイデンティティを形成するのは、自発的な遊びから得る経験です。この「遊び」に特化してデザインをしていきたい。そしてこの路線を突きつめて、私といえば「こういうもの」という回答を、多くの人びとに認識してもらえるようなデザインをしていきたいと思っています。

左=「葉っぱの日よけ」、右=1~3歳向け遊具「りぐりぐシリーズ」より、「いもむしすべり台アン」


<インタビュー 2017年3月>©桑沢デザイン研究所 卒業生一覧へ戻る