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卒業生紹介

長嶋千耶子

ファッションデザインコース
2003年卒業

長嶋 千耶子

デザイナー
2011年 Ever Green-weddingを設立

 オーダーメイドのウエディングドレスを制作しています。ブライダル関連のアクセサリーデザインや製造も行っています。
 ウエディングドレスは普通、一度着て終わりです。しかしいまはアニバーサリーウエディングとして結婚から何周年の記念にもう一度着たり、よりシンプルなワンピースに直したり、染色して着続けたりする方もいます。お客様の希望を聞きながら、生地の素材やデザインを考えています。
 この仕事をしたいと思ったきっかけは、中学3年生の頃に母親に連れられて行った「ザ・ウエディングドレス」展(伊勢丹美術館)でした。プレタポルテやオートクチュールのファッションショーで最後に登場するドレスだけを集めた展覧会で、あるブランドのウエディングドレスにとても感動しました。その瞬間、自分のブランドを立ち上げたいと思い、その日から毎日、ドレスのデザイン画を描き続けました。当時の展覧会のチケットはまだ手元に置いています。
 高校でデザインの勉強をしていましたが、卒業後の進路を選ぶときに、デザインの仕事をしていたことのある叔母から、〈桑沢〉を勧められました。私も、大きな学校ではなく少人数でじっくりと学んでいける〈桑沢〉が自分には合っていると 思いました。

 〈桑沢〉の授業では、ファッションとはまったく関係のないものから得た着想を、ファッションに落としこんでいく授業が面白かったです。数寄屋建築の写真集を見て、自然に融和しようとする建て方や、庭の木漏れ日がつくる陰影から形やテキスタイルを考えました。あるいは自分の好きな芸能人をモデルにして、その人のファッションプランを考えたりすることも印象深い。何もないところから考え、実際に着られる形に落としていくためのデザイン力が、この時期に身についたと思います。

 〈桑沢〉では専攻以外のジャンルのデザインも学べるため、それが発想の幅を拡げる訓練になったかもしれません。現役で活躍する講師が来られているのも魅力です。
 現代は晩婚化が進み、女性は30代で結婚する人が全体の半数以上になっていきます。しかしウエディングドレスのデザインは20代を想定したものが多いようで、その世代に合うレンタルのウエディングドレスが少ない。独立当初にオーダーをくださったのも40代の方です。「やっと私の着られるドレスに巡り会えた。これで自分も結婚式をやっていいと思えた」と。その言葉を励みに、この道をどんどん進もうと思っています。

オーダードレス。〈桑沢〉同級生に作ったもの


<インタビュー 2017年3月>©桑沢デザイン研究所 卒業生一覧へ戻る