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2023.11.03「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄

牛腸茂雄 《 SELF AND OTHERS 18》1977年、ゼラチン・シルバー・プリント、新潟県立近代美術館蔵

「『前衛』写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄」が、渋谷区立松濤美術館にて開催されます。

本校でも講師をされていた大辻清司先生、本校卒業生牛腸茂雄さんの作品も展示されます。
大辻先生と牛腸さんの交流を一つの流れとして観せる展示になっていますので、ぜひご覧になってみてください。

大辻清司《大辻清司実験室 なんでもない写真》1975年(1980年プリント)、ゼラチン・シルバー・プリント、武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵

牛腸茂雄《 SELF AND OTHERS 3》1977年、ゼラチン・シルバー・プリント、新潟県立近代美術館蔵

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美術評論家の瀧口修造たきぐちしゅうぞう(1903-79)、絵画と写真で活躍した阿部展也あべのぶや(1913-71)、そして写真家である大辻清司おおつじきよじ(1923-2001)と牛腸茂雄ごちょうしげお(1946-83)。この4人を結びつける、日本写真史における特異な系譜をご紹介します。

1930年代、海外のシュルレアリスムや抽象芸術の影響を受けて、日本各地に前衛写真が流行。東京では、瀧口や阿部を中心とする「前衛写真協会」が設立されます。技巧を凝らした新奇なイメージが珍重された前衛写真の風潮に満足しなかった瀧口は、「日常現実のふかい襞のかげに潜んでいる美」を見つめ、いたずらに技術を弄ぶべきではないと、熱狂に冷や水を浴びせかけます。しかし、太平洋戦争へと向かう時局において前衛写真が次第に弾圧の対象となっていくなか、この瀧口の指摘は一部をのぞいて十分に検討されることなく、運動は終局に向かいました。
戦後、個々人のなかに前衛写真の精神は継承され、特需景気、経済成長からその限界へとひた走る戦後の日本社会に反応し続けます。とりわけ、写真家としての出発点において瀧口と阿部に強く影響を受けた大辻と、「桑沢デザイン研究所」における大辻の教え子だった牛腸の二人は、時代に翻弄され移り変わる「日常現実」を批判的に見つめなおし、数々の名作を生み出しました。その写真には、反抗と闘争の60年代が過ぎ去った70年代、変容を遂げつつあった「前衛」の血脈が隠されています。
4人の精神があぶりだす、「なんでもないもの」のとんでもなさ。どうぞ穴の開くほど、じっくりとご覧ください。

(渋谷区立松濤美術館公式サイトより)
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会期 2023年12月2日(土) – 2024年2月4日(日)※会期中、展示替えがあります
前期 12月2日(土) – 1月8日(月)
後期 1月10日(水) – 2月4日(日)
休館日 月曜日(ただし1月8日は開館)、12月29日(金) – 1月3日(水)、1月9日(火)
開館時間 午前10時 – 午後6時 (ただし金曜日は〜午後8時) *入館は閉館時間の30分前まで
会場 渋谷区立松濤美術館 〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-14-14
入館料  一般800円(640円)、大学生640円(510円)、高校生・60歳以上400円(320円)、 小中学生100円(80円)
※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料 ※毎週金曜日は渋谷区民無料
※土・日曜日、祝休日は小中学生無料 ※障がい者及び付添の方1名は無料
※入館料のお支払いは現金のみとなっております。
[リピーター割引]観覧日翌日以降の本展覧会期中、有料の入館券の半券と引き換えに、通常料金から2割引でご入館できます。
関連URL 渋谷区立松濤美術館