2025.04.18「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」
展覧会ポスター[写真情報]「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)にて©GA Photographers
本校でもかつて教鞭を執られていた建築家・篠原一男氏の生誕100年を記念し、TOTOギャラリー・間にて展覧会「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」が開催されます。
本校では現在も、昼間部・夜間部スペースデザイン専攻の授業において、篠原氏が手がけた住宅建築を題材とした課題に取り組んでいます。学生たちはその空間を分析し、最終的には篠原氏の住宅の隣に、新たな住宅を設計するという課題を長年続けています。
*以下、公式サイトの紹介文を抜粋
谷川さんの住宅(1974年)©多木浩二
篠原一男(1925-2006年)は東京工業大学(現:東京科学大学)で清家清(1918-2005年)に学び、卒業後は同大学で教鞭をとりながらプロフェッサーアーキテクトとして、退職後は自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)に篠原アトリエを構え、設計と言説の発表を続けました。坂本一成、伊東豊雄、長谷川逸子に代表される「篠原スクール」と呼ばれる一群の建築家を輩出するなど、氏の薫陶や影響を受けた多くの建築家が現在、建築界の第一線で活躍しています。
篠原一男は「住宅は芸術である」と唱え、小住宅の設計に多大なエネルギーを費やしました。篠原の住宅は日本における現代住宅のひとつの到達点を示すものとして、現在国内外で再評価の機運が高まっています。この言葉とともに発表された初期の代表作「から傘の家」(1961年)は2022年にスイス、バーゼル近郊(ドイツ、ヴァイル・アム・ライン)のヴィトラ・キャンパスに移築再建され、「白の家」(1966年)、「地の家」(1966年)、「谷川さんの住宅」(1974年)もそれぞれ移築や再生によって継承され、その空間を今にとどめています。
上原通りの住宅(1976年)©多木浩二
本展覧会では、篠原一男にゆかりのある建築家の奥山信一氏、貝島桃代氏、建築史家のセン・クアン氏をキュレーターに迎え、生涯を通して自らに「問い」を投げかけ続けた氏の建築家像を、「永遠性」をテーマに再考します。
会場では、東京工業大学篠原研究室作製の原図や模型、真筆のスケッチ、家具などのオリジナル資料を、氏の言説から抽出した「100の問い」と氏自らの分類による「第1の様式」から「第4の様式」に沿って構成し、その活動と人間性を浮かび上がらせます。篠原の「第5の様式」を予感させる未完の遺作、「蓼科山地の初等幾何」(2006年、計画案)のスケッチも展示予定です。
本展覧会が、氏の遺した空間と言説を次代に継承するための一助になることを願っています。
篠原一男真筆の「谷川さんの住宅」(1974)スケッチ 提供:東京科学大学 奥山信一研究室
篠原一男真筆の「ハウス イン ヨコハマ」(1985)スケッチ 提供:東京科学大学 奥山信一研究室
篠原一男真筆の「蓼科山地の初等幾何」スケッチ 提供:東京科学大学 奥山信一研究室
開催概要
会期 2025年4月17日(木)~6月22日(日)
開館時間 11:00~18:00
休館日 月曜・祝日 ただし、5月3日(土)、4日(日)は開館、6日(火)は休館
入場料 無料
会場 TOTOギャラリー・間
住所 〒107-0062 東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
関連URL
展覧会リーフレット(表)[写真情報]「谷川さんの住宅」(1974年)にて ©多木浩二
エントランスから会場を見る。
© Nacása & Partners Inc.
壁面は「白の家」。
© Nacása & Partners Inc.
壁面は「地の家」(1966年)。
© Nacása & Partners Inc.
「谷川さんの住宅」(1974年)と「上原通りの住宅」(1976年)。中庭には多木浩二(たきこうじ、思想家・美術評論家)撮影による写真。
© Nacása & Partners Inc.
GALLERY 1全景。「空間の永遠性」をテーマにした展示構成。テーブルには「白の家」(1966年)の原図25点を展示。
© Nacása & Partners Inc.
「地の家」模型。
© Nacása & Partners Inc.
中庭夜景。
© Nacása & Partners Inc.
「ハウス イン ヨコハマ」の出窓から、未完の遺作「蓼科山地の初等幾何」(2006年)の展示を見る。800枚ものスケッチの一部を紹介。
© Nacása & Partners Inc.