2024.11.02触覚をもとに心地よい形に仕上げる『ハンドスカルプチャー』
昼間部1年生の「基礎造形(構成・立体)」の授業では、桑沢デザイン研究所の伝統課題である「ハンドスカルプチャー」に取り組んでいます。
木の塊を視覚に頼らず、触覚をもとに「自分の手に心地よい形」に仕上げることを目標に進めます。
この課題は、ドイツのバウハウスで教鞭を執ったモホイ=ナジ(1895-1946)が、米国シカゴで設立したニュー・バウハウス(後のシカゴデザイン研究所)で考案されたものです。日本では、ニュー・バウハウスで学んだ著名な写真家、石元泰博氏が帰国後に桑沢デザイン研究所で教鞭を執り、1954年設立当初から桑沢デザイン研究所のカリキュラムに組み入れられました。そして70年経った今でも受け継がれています。
▲1961年学校案内書 表紙(学校案内書アーカイブより)
この課題では、ノコギリやノミ、ナイフ、ヤスリといった道具を使い、「削っては触る」ことを繰り返しながら、手の感覚をもとに形を探求します。
視覚的な美しさではなく、手の触覚を唯一の判断基準とし、素材の特性や手加工による偶然の要素が形に変化を与えることで、個性豊かな作品が生み出されます。
また、この制作プロセスを通して、握る、なでる、つまむなど、人の手の動きや機能を学ぶだけでなく、素材や加工の特性を学ぶことができます。
手と頭を同時に動かしながらデザインを深く学ぶことの大切さを意識できる機会となります。
専任教員 小関潤 先生
担当教員 伊藤邦彦 先生 野村太郎 先生 皆川めぐみ 先生 岡本菜美 先生